時代に合わせ、三度の業種・業態変更で成長。ミモザ藤田社長に聞く、変化を生み出しチャレンジし続ける秘訣。

経営者
2022.07.08
経営者
2022.07.08

時代に合わせ、三度の業種・業態変更で成長。ミモザ藤田社長に聞く、変化を生み出しチャレンジし続ける秘訣。

日経トップリーダー経営者クラブに所属する経営者をインタビューするコーナー。今回は株式会社ミモザホールディングスの代表取締役社長の藤田 淳一氏にお話を伺います。時代に合わせ、事業を変えながら成長してきた藤田氏が、チャレンジし続けられる秘訣とは?

藤田淳一(ふじた じゅんいち)

プロフィール
株式会社ミモザホールディングス代表取締役社長。インターネットショップ運営などを手がける株式会社ミモザ情報システム、株式会社ベクルックスの代表も務める。

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常に次を見据えて事業を拡大

―― 本日はよろしくお願いします。はじめに改めて事業内容を教えてください。

インターネットを使ったビジネスをしています。ホールディングス化していて、ミモザ情報システムでは対企業、ベクルックスでは対個人と、お客様によって会社を分けています。

事業としてはインターネットショップの運営が中心です。ソフトウェア系と事務系に分けて、13ショップを運営しています。特徴は、「1メーカー1ショップ」にしていること。運営側としては、さまざまなメーカーの商品と取り扱う総合ショップの方が運営しやすいのですが、お客様からすると分かりにくい。そのためショップを分けて、お客様の使いやすさにこだわっています。加えて強みをつくるために、大手ネットショップではなかなか手が届かない、商品知識や業務知識など、専門性の高い発信を強化しています。

加えて、対企業においてはネットショップをご利用いただいている全国のお客様から、システム案件も受注しています。商材である財務会計や給与計算のソフトの導入や、バージョンアップのお手伝いなどです。顧客リストは全国14万社。中小企業を中心に、多業種にサービスを展開しています。

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―― 今の事業に到るまで、業種や業態を変えてきたと伺っています。創業からこれまでの沿革を教えてください。

創業は29年前、ちょうどWindows95が出た頃のことです。データ入力とパソコンの訪問販売の事業から始まりました。私は大学卒業後企業に入社し、データ入力などの仕事をしていましたが、自分でやりたいという思いがあり独立したのです。

しかし、しばらくやってみると、データ入力とパソコンの訪問販売は人海戦術となる上に単価が安く、継続が厳しいと感じました。
目をつけたのは財務会計や給与計算などの業務ソフト。業務ソフトであればさまざまなジャンルがあり、導入する際に業務知識も必要なので、サポートが必要とされるだろうと考えたのです。これが当たって、売り上げが伸びました。その段階で社員を採用し、徐々に組織ができました。

ただ業界が伸びると競合他社も爆増。次の事業を作る必要を感じていました。さまざまな事業を試してみる中で、現在のネットショップ事業にたどり着いたのです。ミモザは常に変化してきた会社と言えるのではないかと思います。

現状維持=右肩下がり。ルールの範囲で常にチャレンジを

―― ミモザグループでも、「変化する社会の動きを的確に捉え、求められるサービスを創造する」ことを経営理念に置かれていますよね。積極的にチャレンジし変化することに対して、どんな思いをお持ちですか?

現状維持=右肩下がりでしかないという怖さがあります。もっと会社を大きくしたいと考えているので、現状に満足していません。

例えば同時期に起業した人が成功しているのを見れば、「なんで彼にできて俺にできないんだろう」と思う。負けん気ですよね。上には上がいますし、相手は勝負している気なんてないでしょう。自分で勝手に勝負をしているだけですが、常に上を目指しています。

―― チャレンジに対する怖さはありませんか?

チャレンジのほとんどは失敗しますよ。ただ怖さはありません。今も昔も変わらず、失敗しても元に戻れるならやろうと考えているのです。例えば、1,000万投資して売り上げがゼロでも、始める前のかたちに戻れるならやろう、と。

―― チャレンジのルールを決めていらっしゃるのですね。

そうです。思いついたらある程度検討して、まずやってみます。他に大事にしているのは撤退ラインを決めることです。始める前に、いつまでにどれくらいの成果が出なかったらやめる、と決めています。

それから、思いつけばなんでもいいというわけではなく、これまで成功してきた「インターネット」「中小企業」というキーワードの中で事業をすることにしています。今の事業に全く関係のない飛び地での事業はリスクが大きい。今後を見据え、地続きの領域で事業を展開したいと考えています。

ビジネス・リポートONLINEで事業検討と社員教育

―― 日経トップリーダー経営者クラブでは、サービスの一環として豊富なビジネス情報を蓄積した「ビジネス・リポートONLINE」をご提供しています。藤田さんは「ビジネス・リポートONLINE」のヘビーユーザーのようですが、どのようにご活用いただいていますか?

まず、自分自身の勉強のために見ています。例えば、税制や社会保険制度の改正などがあった際、ビジネス・リポートONLINEにはポイントをまとめた記事がアップされます。それを読んで、自分が得ている情報に漏れがないか確認するようにしています。新聞の見出しのように記事のタイトルを見て情報を把握し、漏れがあった場合は記事を詳しく読み、自分でも追加で調べるようにしています。新しいことを常に考えているので、新規事業のタネになるかなど、さまざまな視点で幅広い分野の記事を読みますね。

あとは、記事をダウンロードして社員に毎日配信しています。例えば、会計・税務分野の記事を経理担当の社員に「この部分を詳しく理解してほしい」と個別に伝えることもあります。社員も読んでくれているようで、前後編に分かれている記事が出た際は、社員から「後編の配信はまだですか?」と聞かれることもありました。経営者仲間にも勧めています。

新入社員向けの記事はよくありますが、中堅、役員などそれ以外の年代や、担当業務別の情報があるとさらに嬉しいです。

社員の想いから変化が生まれる組織に

―― ありがとうございます。営業など業務別の記事の配信を増やしていく予定なので、ぜひご確認ください。最後に、今後の展望について教えてください。

今後は、事業拡大が目標ですね。今はありがたいことに経営が安定し、チャレンジできる幅が広がりました。大きく売上を上げられるような新規事業を作りたいと考えています。ただ、ホームランは狙って打てるものではありません。ヒットをコツコツ積み重ねる中から、ホームランが生まれればいいと思っています。

課題は、ヒト・モノ・カネとそれぞれありますが、中でも特に人です。20代〜40代まで多様な年代の社員がいる中で、一人ひとりの考え方はもちろん違いますし、ジェネレーションギャップもあります。それをどう乗り越えて会社を運営していくかが難しいところです。自分の根底にある、変化を好む、チャレンジをしていく想いは変えるつもりはありません。でも、変化量やチャレンジ幅は人に合わせて調整しなければならないと感じています。

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今は全てトップダウンで決定しており、それも悪くないとは思っています。ただ、もっといろいろな部署からさまざまな想いが上がってきて、新しい変化を生み出せるようになるとより良いですね。今は、社員が一生懸命やっていることが褒められるのが一番嬉しいです。仕事とプライベートの区別はつけながら、透明性を保って会社としてチャレンジしていきたいです。

以上(2022年6月)

pj95000

執筆者

日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。「売上向上」「市場動向」「開業収支」「人材育成」「朝礼スピーチ」など1000本を超えるコンテンツのほか、市場調査も実施。現在、30を超える金融機関に情報提供中。

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